情報科学研究科

情報科学技術の潮流を踏まえた教育研究を実現し、
先端IT人材の育成を牽引する

データ収集?分析、モデリング、シミュレーション、さらにはその計算基盤など、Society 5.0において必要とされる「データ科学」と「計算科学」の基本概念?知識を俯瞰的に修得するとともに、「健康科学」や「情報セキュリティ」をはじめとする広範な応用分野での知識?技法を学ぶ機会を提供しています。

コース紹介

データ科学コース

ビッグデータ時代において、大量のデータを分析することで、新しい事象を発見する能力や実世界の現象のモデル化を行う能力が重要になってきています。そのようなデータ科学の能力を備えた人材が、新しいビジネスモデルの提案や新しい価値の創出によるデジタルトランスフォーメーションの推進を担うことになります。 そこで、本コースではデータ科学の役割や実社会への適用事例について学ぶ講義と、実際のデータを利用したデータ分析スキルを身につける実践的演習を提供します。そして、機械学習を中心とする人工知能、ビッグデータをハンドリングするための数理モデル、アルゴリズム、情報マネジメントなどの知見を活かしたデータ科学の研究を行います。

計算科学コース

シミュレーションは、自然科学や社会科学における実験や理論という古典的な手法とならぶ第3の手法として大きな役割を担っています。本学の神戸情報科学キャンパスは、「京」コンピュータの設置とともに、ポートアイランド南地区の同じ敷地に設置され、大規模シミュレーションに関する研究?教育に貢献してきました。2021年には「京」に代わって世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」が運用開始されました。計算科学コースでは、この世界有数のインフラを使いこなし、自然科学(気象、生態系、地震、物質など)と社会科学(経済、社会保障、イノベーションなど)に関するシミュレーションの研究に必要な、並列計算、可視化、モデリング、数値解析などの基礎と、流体から建築までの応用を学び、計算科学分野における先端研究を行います。

健康医療科学コース

健康?医療分野は情報技術の適用が遅れているため、非効率であると言われていますが、実は情報技術?情報科学と親和性が非常に高く、そのため健康?医療サービスを飛躍的に拡充できる可能性があります。その適用については広範囲に渡り、生体情報の新たな医学的解釈や医学データからの新たな知見の創出や、実際の臨床データや情報システムを用いた新たな医学教育、医療サービスの効率化などが挙げられます。また、ウェアラブルデバイスやIoT(Internet of Things)の実用化は疾患になる前の健康状態の情報を取得、介入が期待されており、疾患になるまでのプロセスをコントロールする先制医療の実現に寄与することが期待されています。本コースではデータ科学?計算科学を駆使した健康?医療分野適用について、体系的に学んだ上で最先端の研究につなげます。

情報セキュリティ科学コース

あらゆるものがネットワークに繋がるIoT(Internet of Things)やビッグデータ時代において、情報やプライバシーをいかに保護するのかは社会的に大きな課題です。本コースでは、情報セキュリティに関して、理論面と実践面の両面からアプローチすることで、高度なサイバーセキュリティ人材の育成を目指します。具体的には、暗号、情報セキュリティ、ネットワークセキュリティ、ディペンダブルシステムの基礎を講義で学び、その上で各々が実産業?実社会で脅威となっているセキュリティの課題に対して、体系だった計算機科学的アプローチで解決に取り組み、数理的な知識からその応用まで一貫した能力を身に付けます。

教育研究上の目的?三つのポリシー等

教育研究上の目的
  1. 本研究科では、社会的課題の解決や新たな価値創造の中心的アプローチとなっている「計算科学」と「データ科学」の両分野を基盤としつつ、計算科学とデータ科学を応用する特定分野として「健康医療科学」、「情報セキュリティ科学」を加えた4分野を中心に情報科学における教育研究を行う。
  2. 博士前期課程では、データ科学と計算科学を基盤とした情報科学の専門知識?技能を身に付け、企画?経営、政策?立案、健康?医療、情報セキュリティなど多様な分野において、課題解決や社会価値の創造に貢献できる技術者?研究者を養成することを目的とする。
  3. 博士後期課程では、博士前期課程の4つの分野(データ科学、計算科学、健康医療科学、情報セキュリティ科学)において修得した情報科学の専門知識?技術をさらに深め、これらを実社会において活用し、情報科学の技術的発展に寄与貢献できる国際通用性と分野横断的な総合的視野を持つ創造性豊かな高度技術者?研究者を養成することを目的とする。
育成する人材像

自然科学、社会科学を含む広範な学問領域に関する諸課題に対して、情報科学技術に関する幅広い視野及び専門知識を基に課題解決に取り組み、新たな社会価値の創造や情報科学の技術的発展に寄与できる研究者、技術者あるいは高度専門職業人など、国際通用性と分野横断的な総合的視野を持つ創造性豊かな人材を養成する。

博士前期課程

自然科学、社会科学を含む広範な学問領域に関する諸課題に対して、データ科学と計算科学の知識と技能を駆使し、新たな社会価値の創造に貢献できる人材
企業や行政などの企画?経営?立案、健康?医療、情報セキュリティなど多様な分野において、データ利活用の現場で活躍できる人材
情報科学における高度な研究能力を身に付け、学問の発展とその結果の社会還元に貢献できる人材

博士後期課程

高度な研究遂行能力を持ち、自立した研究者あるいは研究者としての資質を備えた実践者として、研究機関や企業?公的組織等の現場において情報科学諸分野を理論的?技術的に主導する人材
深い学識を有し、国際的視野に立ち、情報科学諸分野のフロンティア開拓に貢献する人材

ディプロマ?ポリシー

本研究科においては、博士前期課程と博士後期課程のディプロマポリシー(学位授与方針)をそれぞれ以下のように定める。

博士前期課程

  1. データ科学と計算科学の専門的な知識と技能を修得し、具体的な課題の解決に応用できる。
  2. データ科学、計算科学、健康医療科学、情報セキュリティ科学の一つまたは複数の分野の高度な知識と技能を修得し、代表的な問題解決の手法を身に付けている。
  3. データの利活用に関する研究を実施し、その成果に関して新規性、有効性、発展性などの観点から学術的価値及び社会的価値を説明できる能力を有している。

博士後期課程

  1. 高度情報社会が直面する諸問題に対する課題設定、新規的な解決策の提案?実現能力を有している。
  2. 学術的に高度な内容を含む研究を行い、その成果を広く公表し、情報科学の今後の発展に寄与することが認められる。
カリキュラム?ポリシー

博士前期課程

  1. データ科学と計算科学の専門的な知識と技能を修得するために「コース基盤科目」を設け、情報科学の知識と併せて、データ科学、計算科学、健康医療科学、情報セキュリティ科学の各コースを俯瞰的に学ぶ科目を配置する。
  2. データ科学、計算科学、健康医療科学、情報セキュリティ科学の「コース応用科目」を設け、各コースの最先端かつ高度な知識と技能を学習する科目を配置する。
  3. 具体的な研究課題を通して実践的な知識と技能を修得するため「研究指導科目」を設ける。
    学修成果の評価は、試験、レポ-ト、参加度、発表内容、論文の審査結果等により、学修目標に即して多面的な方法で行う。

博士後期課程

  1. 情報科学およびその周辺分野のフロンティアを理解し、自身の研究を深化させるために、データ科学、計算科学、健康医療科学、情報セキュリティ科学の最先端研究を学修する科目を設置する。
  2. 研究遂行能力、文献調査能力を養成し、学位論文を作成するため、研究指導科目を設ける。
  3. 学修成果の評価は、試験、レポ-ト、参加度、発表内容、論文の審査結果等により、学修目標に即して多面的な方法で行う。
アドミッション?ポリシー

求める学生像

自然科学、社会科学を含む広範な学問領域に関する諸課題に対して、データ科学と計算科学の知識を駆使し、新たな社会価値の創造に貢献できるようになるため、必要な技術や知識を身につけ、前向きに課題に向き合い、積極的に取り組む意欲ある学生を求める。

入学者に期待する学力

博士前期課程

  1. 情報科学を学ぶ上で必要な基礎的素養を有している。
  2. 学士課程で修得した専門分野や職場経験の中で身に付けた知識と技能を活かし、データ科学と計算科学を学修する意欲を有している。
  3. 授業内容を理解し研究活動を行う上で必要なコミュニケーション能力を有している。

博士後期課程

  1. 情報科学分野において高度な研究を行うために必要な能力を有している。
  2. 専門的な研究を行う明確な目的ならびに強い自覚と意欲を有している。

入学選抜の基本方針

本研究科では、入学者選抜の基本方針として、受験機会の複数化を保証し、本研究科の教育理念?目標に合致した学生の選抜を行っている。

博士前期課程

(推薦選抜)

兵庫県立大学において学士の学位を取得した人、あるいは同大学で学士を取得する見込みの人、情報科学研究科と協定を締結する高等専門学校等において、学校長の推薦を受け、大学改革支援?学位授与機構から学士を取得した人、あるいは取得する見込みの人に対して行う。選考では、口頭試問、面接、および研究希望調書など出願書類により、志願者の学習能力、専門分野の基礎学力、学習意欲などの総合的な評価に基づき、判断する。

(一般入学者選抜)

大学で学士の学位を取得した人、あるいは取得する見込みの人、高等専門学校等において、学校長の推薦を受け、大学改革支援?学位授与機構から学士を取得した人、あるいは取得する見込みの人、専修学校の専門課程を修了した人、あるいは修了する見込みの人、外国の大学において定められた課程を修了した人、あるいは終了する見込みの人に対して行う。選考では、筆記試験、口頭試問、面接、及び研究希望調書など出願書類により、志願者の学習能力、専門分野の基礎学力、学習意欲などの総合的な評価に基づき、判断する。

(社会人学生選抜)

社会人を対象として、上記、一般入学者選抜と同等の資格を有する人を対象とする。選考では、筆記試験、口頭試問、面接、及び研究希望調書など出願書類により、志願者の学習能力、専門分野の基礎学力、学習意欲などの総合的な評価に基づき、判断する。

(外国人学生選抜)

外国人留学生を対象として、上記、一般入学者選抜と同等の資格を有する人を対象とする。選考では、筆記試験、口頭試問、面接、及び研究希望調書など出願書類により、志願者の学習能力、専門分野の基礎学力、学習意欲などの総合的な評価に基づき、判断する。

博士後期課程

修士の学位あるいは専門職学位を取得した人、あるいは取得する見込みの人、外国において修士の学位あるいは専門職学位に相当する学位を取得した人、あるいは取得する見込みの人、社会人として本研究科の研究課題と関係のある業務に携わってきた人など、広い分野からの学生に対して行う。選考では、口頭試問、面接審査、及び研究計画書などの出願書類により、志願者の情報科学に関する資質、専門知識、経験、及び研究推進能力に関する総合的な評価に基づき、判断する。また、外国人の志願者については、日本語または英語による研究指導および受講が可能かを判断する。

入学前に期待される学習

データ科学、計算科学、健康医療科学、情報セキュリティ科学の一つまたは複数の分野の基礎的な知識と技能を学んでおくことが望ましい。